配管製作はどのように行われる?パイプや溶接の種類を紹介

こんにちは。

湖東地域を中心に、滋賀県、近畿地方全域で機械設備やプラントの配管工事一式を行っている谷口工業です。


前回は配管の種類や用途など、基本的な部分を中心にご紹介しました(https://www.taniguchikogyo.com/blog/plumbing/130234)。配管は、用途に合わせた適切な形状や材質のものを選ぶことがとても重要です。配管製作の現場ではその他にも、さまざまなポイントにこだわって配管を作り上げています。今回は、配管に使用されるパイプの種類や、配管製作時に用いる溶接加工の方法をご紹介します。



■配管に使用されるパイプの種類



配管は、本体ともいえる管=パイプと、それらを接合する継手などの配管部品から構成されます。パイプは製作方法によって「溶接管」と「シームレス管」に大別され、溶接管はさらに3種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。


・アーク溶接管

アーク溶接管は、管状にした素材の継目(シーム)部分をアーク溶接によって接合したパイプです。成形の方法は主に2つあり、金属板をプレス機械で円筒形状に成形・溶接する「ストレートシーム溶接」と、コイル材をらせん状に曲げて円筒形状に成形・溶接する「スパイラルシーム溶接」に分けられます。


ストレートシーム溶接は、パイプのサイズが金属板のサイズに依存するのがデメリットです。一方、スパイラルスチーム溶接はサイズの制限がなく、生産性にも優れていますが、溶接線がらせん状になる上に溶接量が多くなるという問題があります。


・電縫管

管状にした素材の継目部分を、抵抗溶接によって接合したパイプを電縫管といいます。抵抗溶接とは、電流を流した際に生じる抵抗熱によって素材を溶着させる方法です。接合部の強度が高く、表面性状や生産性にも優れ、炭素鋼の他にステンレス鋼・低合金鋼のパイプ製造にも使えるなど多くの長所があります。


・鍛接管

鍛接管は、加熱しながら密着させて圧力を加える「鍛接」によって、管状にした素材の継目部分を接合したパイプです。生産性は優秀ですが、基本的に炭素鋼にしか使えません。また、接合部の強度があまり高くなく、加熱の影響で管内外の表面がやや粗くなるといった欠点もあります。


・シームレス管

シームレス管は、名前の通り継目がない(seamless)パイプです。高温に加熱した円筒形状の金属塊(ビレット)に、プラグという金具を押し付けてパイプ状に成形するため、溶接管と違って継目が生まれません。また、プレス機械で押し出してパイプを成形する方法もあります。


その性質上、パイプ全体に均質性があり、内圧やねじれに強いのがメリットです。炭素鋼からステンレス鋼まで幅広い材質に使用でき、溶接管では難しい厚肉のパイプの製造にも向いています。ただ、寸法精度や表面性状はあまりよくありません。どちらかというと、小ロット品の製造に適しています。



■配管製作で用いる溶接加工の方法



配管を製作する際には、パイプ同士やパイプと継手などを接続するための、溶接加工の方法にもこだわる必要があります。溶接の方法次第で、配管の強度や必要な設備、製作作業の効率も変わってくるからです。ここでは、主な溶接加工の方法をご紹介します。


・被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は、被覆剤(フラックス)を塗布した溶接棒を電極として母材との間にアーク放電を発生させ、溶接棒と母材を溶かして溶接する方法です。必要な道具が少なく機動性に優れているため、場所を変えながら施工する必要がある配管溶接にはとても適しています。


ただし、配管内側の継目に溝があると液溜まりが発生し、清浄性や清掃性が低下する場合があるのが欠点です。これは内面に継目を作らない裏波溶接によって対応できますが、被覆アーク溶接では裏波溶接が難しいため、液溜まりを避けたい場合はTig溶接を採用します。


・Tig溶接

Tig溶接は、電極棒にタングステンを使用し、別の溶加材と母材をアーク放電で溶融させて溶接する方法です。母材の溶融した部分を大気から遮断して保護するために、作業中は溶接部を不活性ガスでシールドします。


電極と溶加材が独立していて取り回しやすく、裏波溶接が必要な場合は広く採用される他、ほぼすべての金属に使用できるのがメリットです。ステンレスやアルミニウムを材料とする配管には、大抵Tig溶接が用いられます。一方、シールドガスや溶加棒を用意しなければならないため機動性に欠けるのに加え、他の溶接法に比べて溶接速度が遅いのが欠点です。


・マグ溶接

不活性ガスと炭酸ガスの混合ガスで溶接部をシールドしながら、溶接棒と母材の間にアークを発生させて溶接するのがマグ溶接です。炭酸ガスの作用でアークが細くなってエネルギーが集中するため、溶け込みが深くなって強度が上がり、見た目も美しくなります。ただし、アルミニウムなどの非鉄金属には、炭酸ガスが化学反応を起こすので使用できません。鉄や軟鋼に使用するのが基本です。


以上のように、配管製作は多くのポイントに配慮して行う必要があります。最適な配管を作りたい時は、素材から溶接加工法まで精通した、経験豊富な専門業者に依頼しましょう。



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